はじめに
近年、予備校や学習塾の倒産が相次ぎ、教育業界には大きな変化の波が押し寄せています。
特に、2025年1月に大学入試共通テスト直前で突然閉鎖された「ニチガク(日本学力振興会)」は、保護者にとって衝撃となりました。
これは少子化による人口減少や入試制度の変化といった社会的背景を反映した象徴的な出来事といえます。
保護者には、早期教育において、内申点を始めとする学校内での総合的評価を重視する戦略への転換が求められる時代に突入しています。
本記事では、こうした状況を踏まえ、英才教育を目指す保護者がどのように対応すべきかを探ります。
1. ニチガクの倒産が示す時代の転換点
(1) ニチガクの事例とその衝撃
2025年1月、東京・新宿を拠点とする予備校「ニチガク」が、大学入試共通テスト直前に突如として閉鎖しました。
この出来事は、単なる経営不振の範疇を超え、関係者に大きな衝撃を与えました。
関連では、昨年の予備校・塾の倒産は53件で2年連続で過去最多を更新しています。
これは、従来の予備校・学習塾の教育モデルが少子化と入試改革という二重のプレッシャーに耐えかねていることを示唆しています。
(2) 倒産が示す時代変化
ニチガクの倒産は、単なる偶発的な経営破綻ではなく、教育業界における大きな変化を象徴しています。
長年にわたり成功を収めてきたビジネスモデルが、少子化による生徒数の減少や、AO入試・指定校推薦などの新しい入試制度への対応遅れによって脆弱化していたのです。
特に、親にとっては、これまで入試の点数を重視していた教育戦略から、内申点やその他の総合的評価項目をより重視する方向への転換が必要となります。
2. 人口減少と入試制度の変化が家庭教育に与える影響
(1) 少子化の進行と教育環境の変化〜オンライン化による個別化・最適化
日本の少子化により学齢人口は減少していますが、塾や予備校自体が完全になくなるわけではありません。
確かに、生徒数の減少により一部の小規模校や地方の教育機関では経営が厳しくなっていますが、新たな成長も見られます。
たとえば、スタディサプリ(スタサプ)や東進ハイスクールなどのオンライン型の学習サービスは、少子化の影響を受けにくいビジネスモデルを確立し、全国どこからでも質の高い教育を提供しています。
オンライン化による個別化・最適化の流れです。
河合塾ほか、大手も、追随しています。
また、最近は、これにAI活用も進みつつあります。
AI&オンラインによる個別化・最適化学習の時代の到来です。
スマイルゼミも、進研ゼミもこの流れになるでしょう。
これにより、家庭での学習環境は多様化・充実化し、保護者はこうしたオンラインリソースを活用して子どもの学びをサポートする選択肢が増えています。
(2) 入試制度の多様化とその影響
近年、大学入試は多様化し、AO入試や指定校推薦などの選抜方法が増えています。
これにより、内申点や課外活動、面接、小論文といった総合的な評価が重要視されるようになりました。
単に学力を問う従来の指導だけでは、これらの新しい入試形式に十分に対応できないことが明らかです。
教育の評価軸が外部模試の点数から内申点をはじめとする総合的な学校での評価へとシフトしている今、保護者としては子どもの適性や志望校に合わせた戦略を立て、入試制度の変化に対応するための準備を進める必要があります。
大学受験もさることながら、中学受験もこの大きな流れに巻き込まれていきます。
3. 保護者が直面する課題と具体的な対応策
(1) AO入試・指定校推薦に向けた家庭での対応
- 子どもの特性と目標の把握: 子どもの強みや興味を理解し、志望大学や学部が求める人物像に合致するような経験や活動を親子で計画します。
- 多様な経験の提供: ボランティア活動やクラブ活動、リーダーシップを発揮できる機会を積極的に提供し、面接や小論文でアピールできる素材を増やします。
- 自己分析のサポート: 子どもと共に、自分の強みや弱みを明確にし、それをどのように表現するかを練習します。これにより、面接や作文で自信を持って話せるようになります。
(2) 内申点の向上に向けた家庭の役割
- 定期的な学習の見直し: 家庭で子どもと一緒に定期テストの対策を行い、苦手科目の克服を図ります。これにより、内申点向上に必要な学校での成績アップをサポートします。塾とどう両立するか、いやむしろ、どういう塾を選ぶか?あるいは塾ではなく家庭学習のみの選択肢も含めた検討が大事です。
- 健康管理と生活習慣の整備: 規則正しい生活リズムや適切な休息を確保し、学習に集中できる環境を整えます。健康な体は、学習効率の向上に直結します。
- 課外活動の積極的な奨励: 内申点は学業成績だけでなく、課外活動の実績も評価対象です。学校外でもリーダーシップを発揮できるような活動に参加させ、報告書や推薦状に反映される成果を出すことが重要です。
(3) オンライン学習の活用とそのメリット
4. 保護者としての心構えと長期的な展望
(1) 柔軟で前向きな姿勢の重要性
教育環境は急速に変化しています。保護者自身が新たな情報を積極的に取り入れ、変化に対応する柔軟性を持つことが必要です。ニチガクの倒産のような出来事から学び、時代の変化に柔軟に対応した教育力を高めることが求められます。
(2) 子どもの個性を尊重し、主体的な学びを促す
保護者は、子どもの興味や才能を見極め、それに寄り添う支援を行うべきです。子ども自身が目標を設定し、自分で課題に取り組む力を育てるための環境作りが大切です。
(3) 持続可能な教育環境の構築
一時的な対応策に終始するのではなく、長期的に子どもが自ら学び続ける基盤を家庭で築くことが必要です。健康管理、学習習慣の定着、そして社会性を養う多様な経験を通じて、子どもが将来にわたって自己成長できる環境を整えましょう。
おわりに
予備校や学習塾の倒産、特にニチガクの急な閉鎖は、教育をとりまく大きな環境変化を象徴する出来事です。
これまで受験のテストの点数重視で進められてきた教育戦略が、内申点をはじめとする総合的な評価へのシフトを迫られる中で、保護者は柔軟に対応し、家庭での教育を強化する必要があります。
AO入試や指定校推薦、内申点対策などを視野に入れて、こどもの良いところを伸ばし、バランスの取れた子どもの育て方を意識することが何より大切と思います。